それ行け!OLバックパッカー

ヴェトナム編


サイゴンの歩き方

ヴェトナムでのはじめての朝。初めての国で向かえる朝は、なんだか感動的!特に到着が夜だったので、ここのホテルからサイゴン川が見えることを発見したのが本当に印象的で素敵だ。よ〜し、ホーチミンを歩きまわるぞ〜〜。

まずは腹ごしらえ。朝食が用意されているなんて超幸せ(ホテルなんだから当たり前だが)。朝ご飯フェチの私としてはかなり嬉しい。早速朝食クーポンを持ってレストランへ向かう。
レストランは最上階にある。そういえば昨日到着したときにエレベータ前にメニューが広げてあって、『むむぅ、お値段結構高い。』と思った記憶がある。
エレベータに乗り、最上階で降りる。開いた扉からレストランに入るとそこは、サイゴン川を見下ろせるガラス張りのパノラマになっていて朝の爽やかな川の流れと、忙しげに行き交うベトナムの人々が一望できる。夜は夜でキレイなんだろうなぁ・・・。

朝食の内容は、コンチネンタルビュッフェ。サラダ、パン各種 、ベーコン、そして目の前で調理法を指定して(スクランブル・フライ・・・)焼き上げてくれる卵料理。あ、あとお粥、麺(フォー)もあるぞ。
私にとってはかなりゴージャスに見えてしまう。ヴェトナムが元フランス領だっただけにバゲットがかなり美味しい。そして南国ヴェトナムを象徴するフルーツの数々★
パイン・マンゴー・パパイヤ・・・ありゃ?これは何だ??
白っぽい果肉に黒ごまみたいなブツブツがいっぱい。うむむ〜〜。食べてみると、甘いでもなく辛いでもなく。『なんじゃこりゃぁ〜〜〜!?』
後で分かったのだが、これがベトナムフルーツ『ドラゴンフルーツ(*)』だった。タイでは目にした事無かったし、ヴェトナム特有なのかしらね。

席に着いて、ゆっくりコーヒーを飲みながらブレックファスト。久々に観光客って感じ。
コーヒーや紅茶もタイでは『超甘い』砂糖ジュースみたいな物しかなかったし、本格的に美味しい物を飲もうと思うと40B(お昼ご飯代くらい)出さなくてはならなかった。(マック・ミスド等のファストフード店で飲むともっと安いかな。)
これなら何杯でも、ゆっくり飲める〜ルールルぅ〜〜♪

周りにはツアーで来た若い大学生風の女性がたくさん。一人ぼっちなのは私だけね。

部屋に帰ると、キレイに掃除してあった。こんな短い時間の間にどうやって?!
そういえば部屋を出て廊下の真中、エレベータの前くらいに管理用と思われるパソコンが置かれており、ホテルの方がお部屋の状況をチェックしていたっけ。PC事情が進んでるなぁ。
バスルームに洗って干しておいた下着を見られたかと思うとちょっと恥ずかしかったが、まあ、いいか。

さて、と。今日はどこに行こうかな。
古本屋でGETした地球の歩き方を広げて作戦を練る。近藤紘一さんの『サイゴンの一番長い日』や『バンコクから来た妻と娘』などを読んでいたので、やっぱり登場する場所には行ってみたい。
あと、今日はバンコクへ戻る便のリコンファームもしなくては。

地図で大体の今日の目標物の位置を確かめて出発!まずはサイゴン川方面へ向かおう。

ハイバーチュン通りをまっすぐ進むと、両側に色々なお店を見ながら歩く事ができる。お洒落な外国人向けのホテルやショッピングビル、高層のオフィスビルも立ち並んでいて、まったく近代的だ。私は小さなショルダーバッグを斜めに肩から掛け、その上をしっかり持ってい歩く。ヴェトナムでは『ホンダカウボーイ』と呼ばれる、ホンダのカブにのった引ったくりが多発している。
斜めがけにしていてもなお強引に引っ張られる為、バイクに引きずられて怪我をするケースもあると聞いた。それでさえクルマ・人よりカブの通行量が圧倒的に多いのに、そんな事聞かされたら肩に力が入って仕方ない。横断歩道もおちおち渡れない。

こういったアジアの道路は信号機など無く、渡るのにはある程度の技術が必要だ。日本のように車両が横断歩道の前で止まってくれて安全が確認できる、という事はほぼ皆無。車・バイクがガンガンとおる道を『ソロソロソロ〜っ』と歩き出し、まずは真中まで進む。そして真中から向こう側へ同じように進む。この時、ビュンビュン車両がすれすれの所を通り過ぎるのだが、恐怖のあまり走り出してはいけない。轢かれます。
あくまで、牛歩作戦に徹し、バイク等が避けやすいように歩いてあげるのだ。

そんなバイクの群集に取り囲まれて渡るので、もう、轢かれるのも怖いし引ったくりも怖いし、神経の磨り減っていく音が聞こえそう・・・。

しつこい客引きもくぐり抜けてやっと川岸まで辿り着いたぞ。
あ〜〜〜、初めてのサイゴン川〜〜〜〜
今日は天気が良いのでゆっくり川岸の白い手すりにもたれかかりながら対岸観察でもしたいところだが、何せ暑い。まあ、思ったよりサイゴン川の流れが緩く黄土色に濁っていた事もあり、眺めるのもそこそこに河に沿って上流方向へ散歩。幹線道路沿いには一応歩道や木陰・ベンチがあるのだが、排気ガスがすごい。私も少しベンチで寛ぎたいが、良さそうな場所にはヴェトナム人の若いカップルが憩っており私一人ではなんともしがたい。男の子のオートバイに仲良く座ったカップルがあちこちにいる。
女の子達の白いブラウスが眩しい。いいな・・・。はぁ〜。

船着場にはたくさんの物売りが居て、近くを通ると声をかけられる。
その中でも困ったのは、一人の男の子だ。(確か、ワッフルか何かを売っていたと思う)

おとこの子「マダム、マダム!」
い「あ〜、ごめん。いらないよ。」
お「マダ〜ム、マダ〜ム」
い「一生懸命なのは分かるんだけど、ごめんね。」
  (ジェスチュアで”いらない、いらない”と伝える)
お「マダ〜ム。」
い「・・・しつこいなぁ。」

私と一緒に、ず〜〜〜っと歩いてついて来る。
さすがにホトケのいまむぅ(!?)でも、だんだん腹がたってきたぞ。

お「マダ〜ム。」 (←しかも、よそ見しながら惰性で言っている。)
い「シン・ローイ、シン・ローイ(ごめんね:ヴェトナム語)」
お「マダ〜ム」
い「もう、いらんってば。」

やっとヤツを振り払い、一路動物園を目指す。
しばらく歩いていると、道端に何か黒いものが散らかっているのに気が付いた。
何じゃこりゃ?

人の髪の毛!!!

ベトナムでは路上で何でも商売してしまうのか。Tシャツや雑貨はよく目にするが、路上理容室は結構な衝撃。しかも、切ったら髪はそのままほったらかしだ。
清掃のおばちゃん・おじちゃんが割と頻繁に掃除している姿を目にするけど、だからといってそれでいいのかなぁ。

街並を見ているとさすがに元フランス領、お洒落なカフェやレストランが多い。ビアホイ(大衆食堂)でも入り口に電飾があしらわれていたり、広いフロアのお店では周りに南国植物が配置されていたりと、タイよりセンスがいいかも知れない。
若い制服を着た学生さんたちがカフェに入っていく姿も良く見かける。
コイツらもデートかなぁ、いいなぁぁ〜〜〜。

目指す動物園は近藤紘一さんの著書に『(旧南ヴェトナム)大統領は“官邸の真正面に動物園なんかを作ったから、自分が間抜けな動物みたいになったんだ”と民衆に囁かれていた』と解説された動植物公園。その記述どおり動植物園から伸びた目抜き通り(レユアン通り)を突き進むと旧大統領官邸(現:統一会堂)がある。太い道路の両脇には美しい並木が植えられ、外国産車のディーラーなどもある(たしか)。

え〜と、動植物園の入り口はどこだ・・・???あれ、通り過ぎちゃった??
ウ〜ム、ウロウロしているとヘンな客引きとかにどんどん目をつけられて声をかけられてしまう。バイクタクシーが一番煩わしいな。あと、やっぱりシクロもウルサイ。
も〜〜〜〜、面倒だな。

動物園・・・ま、いっか。パスしちゃおーっと。

(ここまで来たのに――)と少し思ったが、白茶けたベトナムの真昼間、もう粘る元気も失せ気味。似たような状況がバンコクでもあったような気がするが。


*ドラゴンフルーツ:外見は真っ赤、仲を割ってみると『白いキウイ』。あっさりした甘さでゴマみたいな種の食感が楽しめる。サボテンのような植物になる実で、花は実の色からは想像もできないくらい真っ白な美しい花らしい。しかもその花は昼間はしぼんでいて夜中に咲くのでめったに見ることができない・・・それもその筈、ドラゴンフルーツは『月下美人』の仲間なんだそうです。なんだかロマンチック★ベトナム最後の日の写真に、実の姿を掲載予定!



革命と市民とドイモイ政策

動物園からまっすぐ官邸方向へ進むとすぐに『ホーチミン作戦博物館』がある。正面に掲げてある看板には”MUSEUM OF HOCHIMINH CAMPAIGN”と書いてあるが―――キャンペーンって何だ??キャンペーンって。
“作戦”の事なのだが、何となく『今ならキャンペーンやってます★』みたいな日本人的イメージがあって深刻さが伝わってこない。

入り口で10,000ドン(約100円)を払い入館するのだが、受付の方もみ〜んな公務員らしく男性は制服を着ている。前述のイミグレの人と同じような感じの警備員・警官風な作り。反対に女性はアオザイをまとっていて涼しげだ。フワフワと白いアオザイをなびかせている。
博物館のエントランスに立つと奥の方から『オ、人が来た』という風な感じで係りの男の人が出てきた。料金を払い、チケットを受け取る。

中は白い石造りのガラ―ンとした建物で、エアコンは無い。しかし、ひんやりとした空気に包まれていてすごく心地よい。真中が大きな吹き抜けのようになっていて真正面にはホーチミン氏の馬鹿でかい銅像が立ち、こちらを見ている。ホーチミンの周りには北革命政府軍の、赤地に黄色い星の旗がたくさん立てられている。
氏の真向かいには現ホーチミンシティ(旧サイゴン)の地形の立体模型模型が置いてあり、数列に並べられたパイプ椅子・脇にはマイクが置かれている。おそらく団体観光客等に説明するプログラムがあるのだろう。
今は、私以外誰もいない。シーンと静まり返った館内を、自分の足音を聞きながらゆっくり見てまわる。

右手奥の展示スペースに入ってみると、統一戦争(ホーチミン作戦)の広報部隊で活躍した人たちの資料が展示されている。モノクロ戦争記録映画を撮ったフィルム・撮影機器、写真・服・携帯品等さまざまなものが飾られている。その色褪せ、くすんだ色の展示品たちが、実際に革命を目指して戦った者達と一緒に北からサイゴン市内まで道無き道を辿ったという事実、またそれがわずか30年位前の出来事であったという事を痛感した。
革命を志した若者の目は、年月を経たこのモノクロ写真を通してもなお輝いて見える。

博物館の中二階へ登り回廊をグルっと歩いてみる。相変わらず私一人しかいない・・・いや、1人と1匹だ。
開け放たれた入り口からヒョコヒョコと犬が1匹入ってきた。係りの人が笑いながら犬を追いかけている。天井のサーキュレーターがゆっくりと回り、穏やかな空気の流れを作ってくれる。のどかだなぁ・・・。
社会主義か。

ふたたび階下へ戻り、先ほどの資料室の反対にあるブースへ進む。ここにも色々な作戦資料・模型・写真が展示されている。真ん中のケースに飾られているのは、ホンダのカブに乗って行進する若い男女の革命家の人形だ。その脇には、旧南ベトナムを支持した『敵国』の旗が展示されている。アメリカ・韓国・・・ずいぶんとあからさまなやり方だ。そういえば展示してある写真の解説にも(変な)英語で、『敵国』を意識したコメントが付け加えられている。(われわれはアメリカを下して自由を勝ち取った、というような)
アメリカの観光客はヴェトナムにはこないのだろうか??

灼熱の外へ出てみると、戦車・ブルトーザ・飛行機・砲台など、実際に使ったと思われる本物が展示されている。
こんなに間近でみるのは初めてだ!――しかし、よくみると”ホンダ”や”三菱(?)”といった日本製の物も多く、居たたまれない気持ちになった。日本製のバイクや戦闘機器を使ってアメリカと戦い、”民族の自由”を勝ち取ったヴェトナム。直接的でないにせよ私たちも戦争に関わったのではないだろうか?この悲惨な戦争に漬け込んで儲けたのではないか?
複雑な心境。

外の展示スペースの脇にはパラソルと、ちょっとしたカウンターが出ている。「PEPSI」の看板があるので本来ならカフェとして営業しているのだろう。
ヴェトナムの午後は道路を通る車の音が聞こえてくるものの、至ってのんび〜り。公務員の皆さんも仕事が無くて暇そうにしている。博物館の展示物もあまり手入れされておらず、館員の面々は展示品に全く興味がなさそう。
博物館の『革命』という緊張感あるテーマと、仕事に無関心そうなベトナム人の態度・アメリカ風のカフェの存在に、国家の思惑と国民の意識のギャップ・チグハグさを覚えた。

今のヴェトナムは共産党1党が政局を独占し、その『ドイモイ政策』による経済の開放・発展・国民の収入倍増計画が進められている。しかし、あくまでも独裁1政党の指導によるものであり『ドイモイ適応層』と『非適応層』の貧富格差も広がっているという。その結果、価値観の混乱・犯罪の増加・若年層の政治離れが問題になっているらしい。

私はどうしても、ヴェトナムという国が上滑りしているような観を拭いきれないのだ。


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