サ「今村さ〜ん、かなり待ちましたよ〜〜。」 げ、サトウ君の格好・・・日本にいたときとほとんど同じ(懐かしのスタイル――こう、足先に向かって細くなっている・・・綿パン+スニーカー)だ――しかもほとんど中身の入っていない小さなリュック一つを背負っている。ちなみに、日本で何回会っても彼の私服はそれだった。 い「え、待ち合わせは11時でしょ?」 サ「違いますよっ、10時ですよ〜。」 い「え〜〜〜、11時ですよ、絶対。ゼッタイ。」 サ「いや、10時ですって・・・一人でここにいたら凄い沢山の客引きみたいな人にしつこく声かけられて本当に参りましたよ〜。」 ポッチャリして色白のサトウ君は額から流れる汗を拭きつつ、メガネをかけなおす。待ち合わせは11時だったはずだ!!と確信している私はちょっとプンプンしつつ、とりあえず落ち着いて座れる所へ移動する事にした。来た道を戻って、アイスクリーム屋さんに入る。 い「そんなに客引きいたんですか?(絶対待ち合わせ時間は11時!)」 サ「何て言うんですかねぇ、人力車みたいなのとかバイクとか。」 い「シクロかぁ、嫌な感じですねぇ。」 サ「なんか、日本人の名刺とか持っているオッサがいてびっくりしましたよ。」 い「やっぱり何処にでもいるんですねぇ。」 サ「さくら銀行の名刺見せられたから『その銀行もう無いよ』って言ったら、その人の『三井住友銀行』の名刺見せられたんですよ〜。笑っちゃいましたよ。」 い「(なんか聞いたような話・・・)ところで、ホーチミンまで大丈夫でした??迷いませんでした?」 サ「いやぁ、僕英語全然分からないし初めての海外旅行だし、めちゃくちゃ大変でしたよ。」 い「ホテルは?」 サ「昨晩だけ予約して今日からは取ってないんですよ。」 い「(???)じゃあ、私の泊まっている場所の近くは安い宿多いし、この後にでも決めましょうか。」 それにしても、何て荷物が少ないんだ・・・チェックアウトしてきたと言う事は、彼が今持っている荷物は即ち彼の全荷物のはず。 い「あのー、荷物・・・少なすぎません?」 サ「ははは。僕は日本でも何処でも『ブラリスト』ですから。」 ――――ブラリスト(念のため:手ぶら主義、ということ)って。う〜〜〜〜む。 い「とりあえず、どこ行きます?どこか行きたいところあります?」 サ「僕、行きたいところあるんですよ。ええーと、お寺なんですけどぉ・・・。」 彼がガイドブックで指差したお寺はここから約3KMくらい離れた場所にあるヴィンギエムというお寺。遠くないか??暑いしなぁ。タクシーは乗りたくないしぃ(怖いから)。 でも、まあ、彼は初海外旅行だし行きたいっていう所に行くのも観光気分満喫でいいかなぁ―――というわ訳で、とりあえずお寺へ向かう事にした。 彼はまだヴェトナムドンを持っていないようだったので両替もしないといけない。 お店を出て通りを歩く。グエンフエ通りのを左脇に入ったところに両替屋さんがあるので、そこで両替をすることに。沢山の人が両替に殺到している。今日は大晦日だし、銀行はお休みなのだ。ちょうど日本人家族がいて、お父さんらしき人が大金を両替している。いいな、スポンサー付きで・・・・・悔しいっ。私のこのビンボー加減ったら。 サ「あ、ホテルで会った人だ。あのオジサン、ドンに変えようかドルに変えようか迷っていたみたいで、ドルに変えた方がレートがいいって教えてくれたんです。」 い「でも、ドルで払ってもドンでお釣りくるし、そうすると結局レートも悪いから最初からドンで持っていたほうが便利ですよ。」 サ「――どうしようかなぁ。(オジサンに)こんにちはー。」 オジサン「やあ、どうも。両替してみたら、やっぱりドンの方がいいみたいだよー。」 サ「じゃあ、ドンに変えようかな。」 私の言った通りじゃ〜〜〜ん、と内心思いつつ、1万円札を両替するサトウ君を眺めるいまむぅ。郷にいれば郷に従え、じゃないけどやっぱり現地通貨が一番使いやすいと思うんだよね。両替したサトウ君はもの凄い数の札束を握っている。 い「枚数数えたら、さっさとしまわないと誰に見られているか分からないですよ〜!!」 サ「は、はい。」 あまりのお札の量にサトウ君は戸惑いながら、初のヴェトナムドンの感触に嬉しそうだ。 |
目指すお寺に行く為に、バスに乗ることにした。この旅行ではまだバスに乗っていない(タイでも)。ガイドブックでバスのルートを探し、バス停へ向かう。 え〜と、パスタ-通りは一方通行だから、行きはナムキーコイギア通りに行って乗るんだな――と考えながら歩く。 あ、さっき『ガイドするよ』とか声かけてきたヴェトナム人だ・・・・ い「ほら、本当にお友達きたでしょ。」 男「お友達も一緒に観光どう??」 い「いらんっ!!」 サトウ「さっきの人、なんですか?」 い「なんか怪しいヴェトナム人多くて・・・。」 サ「一人で待っている時散々客引きに声かけられたのに、イマムラさんと一緒に歩いていると声かけられなくなりましたよぉ〜。」 い「それは、私が現地の人みたいっていう意味ですか?」 サ「いや、まぁ、ははは・・・。」 さてさて、15分くらい歩いてバス停に到着。ここから目的地までは一本道だから、まあ間違えないでしょ。間違えたら途中で降りてタクシーでも拾うって事で、ね。(お財布が増えたのでちょっと強気・・・えへへ。) 二人でバス停に座っていると隣にホームレスっぽいオッサンが座ってきた。 オッサン「Where are you from?」 サトウ「え?え?何??」 オ「ホエア アー ユー フロム?」 サ「ホエア?――ああぁ、にほん。じゃぱん、ジャパン。ははは。」 オ「Where are you going?」 サ「??え。え。何?オジサン、僕英語わかんないんだよー。はははー。」 オ「ホエア アー ユー ゴーイング?」 い「どこに行くの?って。」 サ「あー、あー。お寺。お寺だよ。おじさん。ごめんごめん、はははっ。」 サトウ君は全く英語は理解不能みたいで、しかも理解しようとすらしていない。でも、真っ向から日本語で堂々と答えていてなんとなく通じていそうなところがコワイ・・・。一緒にいる私はちょっとハズカシイィィィィィィーーーーーッッッ!! サトウ君、少しくらい努力してくれっ。 |