それ行け!OLバックパッカー

ヴェトナム編


サトウ君 (仮名)、初めての海外旅行

サトウ君は同じ職場の歳は私よりちょっと上、まあ、いわば同僚のような人だ。
私が会社を辞めることを決意した辺りからちょくちょくご飯を一緒に食べに行く事があったり、一緒に出かけたりする事があった。
で、一緒にタイ料理を食べている時だった(かな)。

い「今度、タイ〜ヴェトナム〜マレーシアへ行くんですぅ〜。」
サ「へえ・・・僕、海外旅行は行ったこと無いんですよ。昔一回行こうと思った事はあったんだけど、パスポートが間に合わなくて」(←なぜか敬語)
い「そうなんですかぁ。」
サ「でも仕事がちょうど区切りが付くし、言ってみようと思っているんですよ。2月11日は今村さん、、どこに行っているんですか?」
い「う〜ん、変更してなければヴェトナムのホーチミンにいますけど・・・。」
サ「じゃあ、僕も行ってみようかなぁ、ヴェトナム。」

という運びになってしまい、『来るな』ともいえず、来る事になったのだ・・・・。
しかも彼は仕事の都合もあり、2泊3日で来ると言う!!!ナ、ナンなの―――。しかもヴェトナム一人旅が彼の初海外旅行。なんて無謀なんだ!?

渡航の手配でも色々あったようだったし。

サ「パスポートなんですけど、何がいるんですかね?」
い「住民票と戸籍がいるんだと思いますけど。」
サ「戸籍謄本は数年前のがあるんですけど、使えますかねぇ?」
い「――さぁ・・・。」
サ「旅行券って、どこで買ったらいいですかね?」
い「えーと、私は新宿南駅にある『アクロス』で買いましたけど、あの辺にある格安チケットショップだったら大体大丈夫じゃないですか?」
サ「じゃあ、行ってみます。」

数日後。

サ「いやあ、旅券センターに行ってバトってきましたよ〜。」
い「な、何したんですか?」
サ「戸籍謄本は3ヶ月以内のものじゃないと駄目って言われたんですけど、そもそも有効期限があるものじゃないし、不動産売買のときと違って法律の定めも無いはずじゃないですか?だから――。」
い「何てゴネたんですか・・・?」
サ「取ったばかりの新しい住民票の戸籍欄に載っている住所と数年前の戸籍謄本に載っている住所が同じだから、戸籍が変わっていない証拠じゃないかって、押したら認めてくれましたよ〜〜〜〜。はははは〜〜〜っ。戸籍はまだ実家の方にあるんで取るのに1週間くらいかかるんですよ〜。それじゃ間に合わないじゃないですかぁ。」
い「い、言ってみるモンですねぇぇぇ・・・。」
サ「あぁ、航空券の方なんですが、行きは取れたんですけど帰りがキャンセル待ちなんですよー。大阪経由なんですけど。でも、担当の人がいい人で、何とかしますっって言ってくれてるし、まあ、大丈夫みたいですよー。」
い「―――取れるといいですね・・・。」

サ「ところで、ホーチミンでの待ち合わせはどうします?」
い「えーと、私も良く分からないんですけど・・・じゃあ、東京三菱銀行の入っているビルの1階に集合って事で。」
サ「じゃあ、それで。ヴェトナムであいましょう〜〜。」



地下要塞!統一会堂

今日は2月11日。サトウ君と待ち合わせの日だ。さて、11時まで何しようかな・・・。

とりあえず今朝の朝食は『フォー2000』でフォーを食べることに昨日決めたので、ヴェンタイン市場方面へ向かう。
朝が早いのでまだそんなに交通量が無い。結構スイスイ歩いていけそうだ。――近づいてきたぞ。お店の入り口に英語表記で記載があるし安心して入れそうだわ。
小洒落た入り口から入ると中はピッカピカのステンレス製テーブルが並んでいた。朝だというのに地元の家族連れも沢山来ている。椅子に座るとお手拭も配ってくれる。
さてと、メニューを見る・・・・うむむ、フォーにしてはお高めで12000〜15000D程する。その中から普通にフォー・ボー(牛肉)とマンゴシェイクを注文。若くて清潔なコスチュームを着た店員さんが、颯爽と厨房へ歩いていく。

周りのお客さんは身なりも綺麗だし、きっとそれなりの階層の人なんだろうな。大晦日の朝、家でご飯を作らずに朝から外食を楽しんでいるという雰囲気。壁には『フォー2000』が自慢としている清潔基準の詳細が掲げられていて、クリントン米大統領の視察写真らしきものも飾られている。とても近代的。
それとは反対に、お店の入り口や開け放たれた窓からこちらを伺う物乞いの人々が、差し込む朝日に影を落としている。

お、私のフォーがやってきた!丼に入ったフォーと、脇の平皿に盛られた沢山の青い香菜。丼の上に好きなだけ香菜をちぎって載せる。そして、もしお好みならタレを少し。ヴェトナムの料理はタイ料理より香辛料も控えめだし辛さも少ないのでとても食べやすい。そして、そんなに脂っこくないし野菜が多いので女性にはとても良さそうだ!!
私は少しずつ気温が上がっていくホーチミンの朝、アツアツのフォー・ボーを食べ、マンゴーシェイクを飲み干したのだった。(←どーいう食べ合わせだっつーの。)

朝から猛烈にお腹一杯になった私はお会計を済ませ(22000D)お店をでることにした。
お店を出たからといって特に向かう所は無いのだ。待ち合わせにはまだ早いしぃぃぃ、ひとまず近くの公園に行く事にしよう。年末フェスティバルみたいになっていた公園へ・・・・行ってみたら、お掃除のおじちゃんおばばちゃんが沢山!!つまり、撤去作業中
でもホームレスっぽい人も堂々といるし、朝のジョギングしているオッサンもいたので私も普通にベンチに座り、ややもすると眠くなってきてしまった・・・・いかんいかん。これじゃ○○公園に住んでいる人みたいじゃんっ。でも、眠気には勝てずぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜―――。ちょっとうたた寝☆
30分も座っていたら公園にいるのも飽きてきたなぁ。周りの視線も居心地悪いし。
よしっ、これから『統一会堂』へ行こう。

数日前、一度夕方に行ってみたものの既に閉まっていた『統一会堂(旧官邸)』へ再度アタックなのだが、ここからなら待ち合わせ場所にちょっと遠回りになるくらいでいい時間潰しになりそうだ。テクテクと向かっていく。
正面のゲートに差し掛かるとココナッツジュース売りのお兄さんが待ち構えているのが見えるぞ。

ココ「どこからきたの?」
い「日本。」
コ「ジュース、美味しいよ。」
い「ごめんねぇ、いらないのよー。」

と言葉を交わして、入り口を探す。
およっ、なんか怖い雰囲気のお巡りさんがゲートにいるぞっ!?入れないのか???と思ったら、中庭に団体観光客の大きなバスが何台も泊まっている。開いている様子だわ。お巡りさん(警備員?)が『エントランスはあっちだよ』と門の中を指すので、言われた通りに中庭の方へ進んでいく。
統一会堂前のお庭は思ったより大きい!!こりゃ、日本のちょっとした公園より大きいねぇ。真中に立派な噴水が作られていて周りをぐる〜っと芝やお花が取り囲んでいる。円状になった入り口前の道路には数台の大型バスが横付けされているて、個人で来ている人はほとんどいないみたいだ。
入り口正面はローマ帝国の宮殿のように豪華な太い柱が沢山建っていて、幅の広い階段が続いている。右脇にちょこんと置いてある普通の机にアオザイを着たお姉さん・制服を着たお兄さん(オジサン?)達がいて、ここが受け付けらしい。入場料15000Dを払うとチケットと簡単なパンフレットをくれた。

とにかく大きい!!どこから周ったらいいのか訳分からん。ガイドもいないし・・・・・と思ったら一応の順路が決まっていて、その順番に歩けば観光名所は見て回れるようになっているようだ。
1階はズラリと並べられた椅子と机、正面の壁には豪華な絵巻物のような絵が描かれていて、会見場という感じだ。まあ、今はそういった使い方をされているので何処の階にも大小の会見場・会議場のような部屋が作られている。しかし豪華だなぁ・・・・調度品も素晴らしいし、オブジェや絵画も国賓をもてなすだけではもったいない位。たまに一緒になるほかのツアー客に対して行われている説明(英語)や説明書きを頼りに進んでいく。
どんどん上階に進んでいくと、旧南ベトナム時代の首相が個人的に設えた部屋や婦人の為の部屋などが現れた。北と対照的で『華やか』な文化をもつ南ベトナムらしい『映画鑑賞室』や『奥様の社交室』といった娯楽施設がある。なんだか贅沢ねぇ。こんな事ばかりしていたから北に攻められたんじゃないの〜〜。
ちょうど廊下の真中辺りにあるバルコニーへ出てみると、真正面にレユアン通りが動・植物園まで延び、綺麗に並んだ並木が見渡せる。ここが建物を外から見たときに一番視線の集まるあのバルコニーだ。

大統領はここで演説をし、ヴェトナム戦争終結の折には北の軍が占拠し、ホーチミン氏の肖像を掲げ『勝利宣言』をした正にその場所なのだ!!すごいっ!!鳥肌が立っちゃうよ。当時の指導者も同じ景色を眺めたんだろうな。北から野戦を生き抜いてきた兵士達はどんな思いだったんだろう・・・。

最上階へ上がるとヘリポートが見えてきた。ここは旧南ヴェトナム首相が脱出用に用意したヘリポートだという。臨場感がある。ここまで来ると地上の見所はほとんど見終わり、今度は階段をず〜っと下って地下部分に入っていく。
薄暗い、閉塞感のある地下は、当時のヴェトナム戦争において作戦・指揮をとる重要な『地下要塞』だったらしい。無数の小さな部屋が機械室・通信室となっており、デスク・地図・勢力図・・・・が配置されている。当時の緊迫した空気が今なお残っているかのように感じ取れる。
通路脇に突然ベットが現れ、何かと思ったら『大統領の緊急ベット』だそうで。夜通しここにこもって作戦を練り、熟睡なんて出来なかったんだろうな。
結局この官邸は無血開城し、首相室に入ってきた北ヴェトナム指揮官と穏やかに握手をしたという。わわわ〜〜〜。歴史がここで動いたんだわっ!!!

そんな地下の要塞を抜け出し、再び南国の日差しがさんさんと照る1階へ上がる。手入れの行き届いた庭には熱帯の木々が生い茂り、木陰にはベンチが並べられていてとてものどか。そんな歴史があったことなんて嘘みたいだわ。実際、この足元にあんな要塞がまだそのままに残っているなんて恐ろしい限り。

地上の空気は熱気を帯びてきて、いよいよ待ち合わせの11時が迫ってきているようだ。思ったより統一会堂が楽しかったので、朝からかなりの充実感に満たされて出口へと向かう♪

あー、近藤紘一さんの本を読んでおいて本当に良かった。



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