取り合えず、ドルをヴェトナムドンへ両替せねば!! 銀行へ行ったものの、案の定年末の為お休み。USDはあるのにドンが無いというヘンな貧乏状態。仕方ない、ドルで払うしかない。ま、大丈夫でしょ。 インド料理の店はブイビエン通りがチャンフンダオ通りにつながる場所付近にあって、ランチタイムメニューの看板が出ていた。よく八百屋さんの店先にあるような巻取りタイプのビニールっぽい庇が付いていて、赤のストライプでかわいい。良し、ここに入ろう。 お店の中はインドっぽい感じで、白人のオジサマが一人食事をしている。彼は常連さんみたいな雰囲気かな。店員さんは全員『インド人』。わおっ。(ターバンは巻いていない) 店員さんがメニューブックを持ってきてくれた。丁寧な物腰だわ。どのカレーにしようかしら。 い「チキンカレー下さい。」 店員「ライスですか?」 い「ナンはありますか?」 店「OK」 ランチはチキンのカレーと小さいサラダがセットになっている。日本でよくあるインド料理屋さんのメニューと同じで安心感があるし、どこの国でもインド人のインドカレー屋があることが面白い。まあ、普通のことなんだけど・・・・。 あ、カレーが来たわ☆いいにほひぃ〜〜〜〜〜♪ナンも焼き立てで美味しそう!!!早速食べ始めるいまむぅ。 店「美味しい?」 い「おいしい!」 店「どこからきたの?」 い「日本。」 店員さんは私の目の前に座って話し始めた。 店「君が入ってきたとき、韓国の人かと思った」 い「(・・・まただ。)あ、あー、よく言われるから。でも日本人なの。タイ人とかも言われる。」 店「ははは。一人で来てるの?」 い「そう。タイ、ヴェトナム、これからマレーシアに行くの。」 店「そうなんだー。僕はね、パキスタンから来ているんだ。」 い「へー、このお店の人、みんなパキスタン人?」 店「うん。知り合いがやっていてさ。」 彼はパキスタンからヴェトナムに出稼ぎ(?)に来ている26歳、見ためバッチリ『インド人』。(まあ、もともとパキスタンはインド圏なので当たり前) い「ヴェトナムはどう?」 店「あんまり好きじゃない。ヴェトナム語は難しくてしゃべれないし。」 い「じゃあ何で、来たの?」 店「仕事があるから。」 い「そうかぁ・・・。」 政情が不安なパキスタンで育った彼はどんな生活をしてきたのだろうか。故郷には家族がいるのかしら。帰ったり出来るのかしら・・・とちょっと切なくなった。特に共通の話題があるわけでもないし、会話も途切れ途切れ。気まずいから何か話題を・・・・。 い「宗教は何教?やっぱりイスラム教?」 店「そう。」 い「ヴェトナムはイスラム教徒にとっていい国?」 店「う〜ん・・・神は心に思って信じるものだから、場所とか環境は関係ないんだ。」 !!!おおおっ、正しくこれは宗教人の発想。彼は敬虔なイスラム教徒に間違いない。1日5回、メッカにお祈りするのかしら??? 店「キミは?何を信じているの?」 い「――なんだろう。仏教徒というほどのものじゃないしなぁ。フリー??か仏教徒、かな。」 自分で振った話題でド壺にはまってしまった。失敗。 日本の若者は心に信じているものが無い、とまた世間に知らしめてしまった・・・。ああ。 店「家族は?」 い「お父さんお母さん、お姉ちゃん、義理の兄。そうそう、もうすぐ甥っ子が生まれるんだ〜!とーっても楽しみ。」 店「いつ生まれるの?」 い「6月の末か7月上旬。」 そんな他愛も無い世間話でやりすごす。 い「あー、お腹一杯〜〜。美味しかった。」 店「ナンはお腹膨れるからねー。ティー?」 い「ティー?ああ、紅茶?」 店「そう、マサラティー。持って来るね。」 ランチに付いてたっけなぁ。忘れた。 店「・・・・。」 なんか、沈痛な面持ちでティーを持ってきた。で、また私の目の前に座ってなんか下向いてる。 運ばれてきたティーは本場のマサラティー!日本で飲んだものより、こう、なんと言うか濃厚なシナモンなどスパイスの味が・・・ 店「・・・・・。」 小さな紙切れに何かボールペンで書いてる。で、その紙切れをスススーッと私に差し出すパキスタン青年。 『I LOVE YOU』 い「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」 そこには確かに、「I LOVE YOU」と書かれている。 ア・イ・ラ・ヴ・ユー???わわわわ〜。 店「キミの心は美しい。」(おずおずしながらも、濃い視線) い「ややや、だって、さっき入った来たばっかりじゃん!?」 店「僕には分かるんだ。」 い「――って言われても・・・。」 店「明日、一緒にご飯食べることできないかな。」 い「あー、明日は友達が日本から来て合流するんだ。(←本当)」 店「じゃあ、明後日は?」 い「明後日の夜、マレーシアに行くの。(←本当)」 店「―――どこに泊まっているの?」 い「(ちょっとコワイわ)デタム通りのゲストハウスだけど・・・。」 店「迎えに行くから・・・・会えないかな。」 い「いやぁ〜〜〜〜、ちょっとぉ。」 しつこい!!けど、ちょっとおずおずしながらも真剣に話し掛けてくれる姿はむしろけなげに見える。今まで話していた感じでも、日本人の同世代の若者より真正面から人生と立ち向かっているような雰囲気があった。 店「じゃあ、メールアドレスは持ってる?」 い「うん。(メール位なら平気かな。)」 メールアドレスの交換をして何とか切り抜ける事に。 お会計をUSドルでしてもらったら、ドルを持って外へ出て行きドンを沢山持って帰ってきた。おつりはドンになっていた・・・。 な〜〜んだ、銀行開いてなくて焦ったけど、意味無かったじゃん。 ランチは33000Dだった。安い!! その日以降、ゲストハウスの前で待ち伏せされているのではないかとちょっと怖かった。 でも、あの人はどうしちゃったんだろう??今日の私は『休日』なので”ノーメイク+メガネ+頭ボサボサ”だったのに。 彼からは以後、すぐにメールが来た。しかも何と言って断ろうと 『キミが幸せである事を神に祈っている。』 『いつヴェトナムに来るの?いつまでも両手を広げて待っている。』 『君はボクがメールを書いたら返事をくれるけど、日常の事でいいから君の方からもメールを下さい。』 『お姉さんの子供は生まれたかい?』 『観光客は沢山来ていて、僕はいつもキミを探すんだけど、キミはいない。』 と・・・・・・1年経った今でもメールが来る。その執念とも思えるメール攻撃を見ると、本当に本気なのかもしれない。彼の神って、アッラーだよなぁ。アッラーに私の幸せを祈ってくれているんだ――。 地球のどこかで私の幸せを神に祈ってくれる人がいると思うと、なんだか嬉しい気もする。 ありがとね。 私の出会った○○人〜パキスタン人編は、そんなパキスタン人青年:カヤニシだった。 |