それ行け!OLバックパッカー
タイ編

タイまでの茨の道

冷たい雨に凍えた指を温めながら、ようやく来た電車に乗り込む。憧れの東南アジア一人旅がいよいよ始まる!!背中に背負ったリュックサックの重さが、更にそれを現実のものとして私に感じさせる。
成田空港第2ターミナル駅に着いたのはいいけど、出発までの間をどうやって過ごそうかな・・・

成田空港で必ず寄るのがジェラート屋、アンジェロだ。抹茶のジェラートを注文し、帰国した後にもここで同じ物を食べられるように祈りつつ食べる。うーん、この緑色とお茶の風味が「日本」って感じでいいんだよな〜。
今回の出発は冬なので、着てきたジャケットを空港で預けてしまおう。ジャケット以外のセーターやマフラーは・・・預けると高くつくからリュックに押し込めとけっ。ジャケットを預けたらさっそくトイレに入って、ノースリーブのニットに着替えるのだ!(この時セーター類を預けなくて良かった、と数時間後に痛感することになるのだ・・・)
いよいよ気分は南国へ!!

何を隠そう、私は成田空港が大好き。あの電光掲示板(時刻表みたいなヤツ)を見ているだけで
 ♪ラブ イズ ザ ミステリぃ〜… 私を よ〜ぶのォ♪(『北ウィング』・・・)
歌いたくなるのは私だけじゃないはずっっ!!
一通り歌い終わると(注:心の中で。) 『さあ、いよいよ旅が始まるぞぉ〜』 『私も、世界のどこにだって行けちゃうんだぞ』ワクワクしてくるのだ。

今回はマレーシア航空、クアラルンプール経由バンコク行のチケットなので、まずはクアラルンプールへ出発。



ほぼ定刻通りに搭乗し、タイの蒸し暑い空を思いうかべながらゆっくりと寛ぐ。そして、いつも機内で楽しみにしているのがお食事。毎食必ず写真を撮っちゃうオノボリさんを見かけたら、それは私かもしれない。
今回はクアラルンプール着AM1:00、(乗継)クアラルンプール発AM10:00予定。その約10時間の待ち時間を見越して機内食のパンにサラダをはさみ、『ワーイ、おいしそーなサンドイッチ弁当完成〜♪空港でひもじい思いしなくて済むぞぉ〜』と備えOK!のつもりでウキウキの機内ライフ。

あ゛、マレーシア航空のスチュワートさん、オトコマエじゃなぁ〜い!?

(オトコマエ):「お嬢さん、そのリュックを棚にお乗せ致しましょう。」
         (↑たぶん、こう言っている:英語)
(い:背153p):「ええ、お願いいたしますわ。」(と言ったつもり)
(オ):「―――お、重すぎやしませぬか」(というリアクション)
(い):「おほほ〜〜」

身も心も軽く、飲めないくせに赤ワインなどを頼んでしまうのだった。

定刻どおり真夜中のクアラルンプールの空港に到着〜。この空港は日本人設計士黒川紀章氏の作で、成田以上に近代的だ。「カツッ。カツッ。」御影石張りの床、ガラス張りの壁に響く、足音。ゴムとオイルパームに囲まれた世界最大級(10km四方)の新空港は、う〜む、いかにも東南アジア近代化の最先端・マレーシアっていう感じ。 
『赤道間近のマレーシア、暑いに決まってんじゃ〜ん。』、そう思っていたのだが、エアコンガンガン、深夜で誰もいない空港は心の底からさむいッ。明日の飛行機は何番ゲートからるのだろう、と掲示板を見てみたが、あれ!?みあたらない!えぇ〜、なんで?
インフォメーションに行き尋ねると『朝の6時に分ります』とのこと。あっ、そうなの?
ケチってホテルを取らなかった私は、リュックを枕にして硬いベンチに横たわる。回りを見渡すと、日本人ゼロじゃないか・・・しかも、(もちろん)女の子ゼロ。床をピッカピカに磨き上げる空港職員の女の子にじろじろーっと見られる。み、見るなよぉ〜。
2階を見るとトランジットラウンジなる文字が。ああ・・・、でもお金がかかるに違いない。
離れた空港ターミナル同士をつなぐ黄色いモノレールのような電車だけが、規則的に往復する。英語・マレー語、そして変な日本語で『電車が参ります・・・・』と繰り返されるアナウンス。

明け方に向けて、だんだんと冷えてきた…寒くて寝れないよぉ。仕方なく出発の時リュックへ押し込んだセーターを着こみ(成田で預けなくて良かった!)、それでも寒くてマフラーを体に巻き、ウトウトすることしばし。
(…お、お腹空いた。)
おおっ。この時の為に!!!そう、あのサンドイッチを食べるのだ♪
 「―――。」(←無言で食べている。)

ノーメイクにメガネ、頭ボサボサ、黒いセーターの上に白のマフラーを体に巻いて、東南アジアのベンチに一人。パンをむさぼる日本人。
(お母さん、ごめんなさ――――――い!!)

まだ目的地にすら辿り着いていないのに、あまりの自分の醜さでいきなりヘコみまくってしまうのだった・・・・。
(しかも後日、モスクワ空港で出会った親切なS田君に、空港での待機時間が長いときは食事のサービスが受けられる、と教えられて更に落ち込んだ。)


ちょ、チョーさん!?

クアラルンプールの空港に朝日が射し始め、硬くて寝心地の悪いベンチから起き上がった私。バンコク行きのゲートナンバーを確かめ (それにしても空港の廊下, 長すぎなんじゃないのぉ!?) とボヤキつつ重いリュックを背負い、ノソノソと歩く・・・。
ゲートの前で待つこと、しばし。AM10:00過ぎに、やっとゲートが開く。

ゲート内の待合室でタイの入国カードが配られる。記入していると、何やら30代後半と思しきアジア人が接近!?・・・ヤッダぁ、なになに!?

アジア人:「★#*○#@&??」
い「はぁ??」
ア:「★#*○#@&??」
い:「すぴーく いんぐりっしゅ?」
ア:「!!ヘルプ みぃ」

どうやら、このお方は入国カードの記入方法が分らないご様子。同じアジア人だし(?)とりあえず協力してみることにした。私の記入済み入国カードに従って入国カードに書き込むアジア人。なんか、顔の感じは中学時代の(数学)I先生に似てるな〜〜。

い「あ。ここは名前。えっとぉ・・・ユア ネーム」
ア:「(??)」
い:「(パスポートを開いて)ほらここ。ここに書いてあるヤツだよ。」
ア:「これか??(というジェスチャー)」
い:「(これか??って聞かれても、アンタの名前がそれかどうかすら分かんないんだけどさぁ・・・。) ああ、それそれ。(適当でいいや)」

そんな調子で『出身国』『出身地』等を記入していく。彼は中国のパスポートを持っていたので、どうやら中国人(名前:張建国さん)のようだ。
『仕事』の欄で、それは起こってしまった!!

い:「アンタ、なに仕事してんの?ここは仕事を書くの。」
張:「?」
い:「ユア ジョブ、オキュペイション、ワーク。ティーチャーとかドクターとかさぁー。」
張:「??」
い:「(ダメだ、通じない。)じゃあ、私の写しなよ。」
張:「(丁寧に)『O・F・I・C・C・E W・O・R・K・E・R』」
         
―――!?。私、スペル間違ってるぅぅ〜〜!!
こっそり機内で「OFFICE」WORKERと、私だけ書き直してみた。
ごめんね、張さん。

でも考えてみると、空港は英語の標記・英語での記入が前提とされている。道案内や乗り場案内、出入国カード・・・。英語が分らない人はどうやって旅をしろっていうの?不案内すぎるのではないか?
更に考えてみると、でも何語だったら良いのかな・・・答えはみつからない。やっぱり、英語が苦手だと自覚している人は事前にガイドブックで調べたり準備をしたりというのが必要なのかも。そうでなければ、ガイドつきのパックツアーに参加するか、かな。
『勉強』としての英語を強要されるあまりに、日本人は英語を嫌いになってしまう人が多いような気がする。その上、外国人と話す機会も少ないし、コミュニケーションの手段としての英語の必要性を感じる事がほとんどない!なんと勿体無い事なんだろう。
きれいな正しい英語を話す人なんてそんなにいる訳じゃないし、もっと楽しく、テキトーに話せて、親しみを持てたらいいのにな〜・・・・などと、偉そうに日本における英語教育に関して考察してみたりして。えへへ。

それにしても、張さんは何語だったら通じると思って私に喋りかけて来たんだろう?中国語のガイドブックとか準備しないなんて、何でそんなに余裕なの?で、結局、仕事はなんなの??
張さん!?

無事入国カードの記入も済んだし、機内に入りやっと自分の席で一人『ほっ。』としていると。
張さん、登場。
私の隣に座るべき西洋人のオジサマを後ろの席に追いやり、なにやら懸命に話し掛けてくるぅぅ・・・・ちょ、チョーさん!?

張:「ホワット ホリディ?」
い「ホワット ホリディ??えっ、そりゃアンタ、ホリデーはホリデーよ。ま、長い休暇なんだけどさ。」
張:「(違う違う、というジェスチャー)ホワット ホリディ?」
い:「だからぁ〜〜、ほりでーはホリデーだってば。」
―――寝る仕草をする張さん。
い:「あぁ〜〜、ホテルのこと!?」
張:「バンコクで、どこのホテル泊まるの?」
い:「・・・えっ!?これから探すんだけどぉ。」
張:「良かったらオレ達と同じ所こない?」

斜め後ろを振り返ると、太った中国人達が笑顔で手を振っている・・・・・。
何語も通じない見知らぬ中国人の一団に、一人。愛想笑いを浮かべながら中華街を歩く私。
―――想像するだけで、超〜〜〜キマズイ。

い:「や、やめとくワァ〜。」
張:「もちろん別々の部屋だから、心配いらないよぉー。」
い:「・・・ところでアンタ、何日間、タイにいるの?」
張:「2〜3日。で、また違う国に行くの。仕事でね。」
(注:全て片言の英語と漢字でのやりとり↑)

ええぇぇぇぇぇぇ〜〜!!シ・ゴ・ト??
英語全然ダメで、そんな短期間に、何しにどこまで行くのだ??張さんの仕事って、いったい・・・・・!?(ちなみに入国カードには、私のカードを写して『この旅行はホリデー(休暇)です』と申告していたし。)
『中国に来るときはここに電話してね』と電話番号を書いて去っていった張さん。ホントはいい人なのか!?

(いつか行ってみようかなァ、中国。)
飛行機から見える、広くて青くて無限の空間を見ながら遠い中国の大地を思ういまむぅなのだった。
―――さァ、もうすぐバンコクだ!!


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